本センターの助教である船坂徳子らによる共著論文が,日本の学術誌Journal of Veterinary Medical Scienceに掲載されました!

 

 Long-term monitoring of circulating progesterone and its relationship to peripheral white blood cells in female false killer whales Pseudorca crassidens.

「メスのオキゴンドウにおける血中プロゲステロン濃度と白血球数の長期モニタリング」

  

 

「妊娠期間は約280日,約34kgで生まれる.新生児はサル目の中では極めて未熟な状態で生まれる.目もよく見えず,座ることも難しい(サルの仲間の多くは生まれてすぐに母親にしがみつく能力がある).約2年で歩いたり言葉を使ったりできるようになり,1015歳で性的に成熟する.体の成長はこの頃に完成する.月経周期(性周期)は約28日であり,女性では50歳くらいに繁殖を停止する.平均寿命は8085歳程度である.」

 

これは,ある生物の『生活史』を述べたものです.そう,ヒトです.イルカやクジラの仲間は世界中に約90種が生息していますが,この生活史が明らかになっている種は多くありません.今回の研究では,世界中の暖かい海に広く生息しているオキゴンドウを対象に,繁殖様式の一部を調べました.オキゴンドウは日本の水族館でも飼育されていて,大きな身体でのダイナミックな動きから,イルカショーでも人気があります.しかし,繁殖に関してはあまり多くのことがわかっていませんでした.

 

本研究では,特にメスの繁殖生理を明らかにすることに着目し,約10年という長い期間に渡り水族館で採取された3頭の血液試料を使って,女性ホルモンの1種であり卵巣活動の指標となるプロゲステロン濃度を測定しました.その結果,メスの性周期は約40日,性成熟年齢は914才までのいずれかの年齢,妊娠期間は約400日であることがわかりました.また,性周期中や妊娠中には,健康診断での血液検査項目の1つである白血球数が変動していることもわかりました.

 

ヒトとオキゴンドウでは性周期や妊娠期間が異なっているように,イルカの仲間でも種によって,これらの長さが異なります.それがなぜなのかは,まだ明らかになっていませんが,様々な種の周期を調べて繁殖様式を比較していくことで,この点が明らかになってくるかもしれません.

 

写真撮影場所:国営沖縄記念公園(海洋博公園)

 

論文:Funasaka, N., Yoshioka, M., Ueda, K., Koga, H., Yanagisawa, M., Koga, S. and Tokutake, K. 2018. Long-term monitoring of circulating progesterone and its relationship to peripheral white blood cells in female false killer whales Pseudorca crassidens. Journal of Veterinary Medical Science, 80(9): 1431-1437.