Redefinition and sexual difference of contact calls in belugas (Delphinapterus leucas)

 

本センターの准教授である森阪匡通らによる共著論文 Redefinition and sexual difference of contact calls in belugas (Delphinapterus leucas)「ベルーガのコンタクトコールの再定義と性差」が欧州の科学誌Aquatic Mammals に掲載されました。

 

<概要>群れを作るイルカの仲間は、光が乏しい海でお互いにばらばらにならないように、お互い音を出し合ってコミュニケーションをしています。森阪匡通准教授が率いる研究グループは、ベルーガにおいて、そのような鳴音(めいおん)を発見し、その詳細を研究してきました。今回の研究では、世界中の研究者によって報告されているベルーガの様々な鳴音のうち、お互いが鳴き交わしに用いている鳴音(コンタクトコール)の定義を拾い出し、さらに新たに、しまね海洋館アクアスで飼育されているベルーガ(写真)7頭の鳴音を調べることにより、ベルーガのコンタクトコールをCreaking Call(ギー音)としてすべてまとめて再定義しました。

このギー音は、個体ごとに異なり、赤ちゃんの頃は決まっていないのですが、だんだん固定して自分 のタイプを持つ様になります。他個体がギー音を発したら、1秒以内に誰かがそれに返事をするというルールがありました。もし1秒以内に返事をもらえなかったら、自分でもう一度出すことも多くありました。

さて、メスのベルーガや若いオスは自分のギー音しか出さないのです  が、成熟したオスは他のオスと同じギー音を出すことがありました。どうして成熟オスのみ他のオスと同じギー音を出すことがあるのかはわかりませんが、ベルーガのオスの社会に関係していると考えられます。オスは成熟すると、生まれ育ったグループを出てオス同士で同盟を作ります。このときにオスのギー音が多様になるのかもしれません。今後はそのような社会関係とギー音の使い方の関係を調べていきたいと考えています。

 

 

論文:Mishima Y1, Morisaka T2, Mishima Y3, Sunada T3, and Miyamoto Y4 (2018) Redefinition and sexual difference of contact calls in belugas (Delphinapterus leucas). Aquatic Mammals, 44: 538-554. Doi: 10.1578/AM.44.5.2018.538 現所属1 東京大学大気海洋研究所 2三重大学大学院生物資源学研究科附属鯨類研究センター (責任著者) 3島根県立しまね海洋館アクアス 4東京海洋大学学術研究院海洋資源エネルギー学部門


Foraging and feeding ecology of Platanista: an integrative review

 

本センターの准教授である森阪匡通らによる共著論文 Foraging and feeding ecology of Platanista: an integrative review「ガンジスカワイルカの摂餌生態に関する統合的レビュー」が英国の学術誌Mammal Reviewに掲載されました。

<概要>視覚の使いにくい場所に棲息する動物は、それを補てんするために別の様々な感覚を用い、あるいは進化させます。ヒマラヤ山脈からのたくさんの細かな土砂を携え流れてくるガンジス川は濁っており、視覚を使うことができないため、そこに棲息するガンジスカワイルカの視覚は退化しています。それでは、ガンジスカワイルカはどんな感覚器官を用いて、どのように餌を見つけているのでしょうか?

 様々な文献調査と予備的な観察、音の研究から、彼らはエサおよび自身の位置(水面、中層、水底)によって、 感覚器官を変えてエサを探して捕らえていると私たちは 結論づけました。水面近くから遊泳性の魚を探すには、 魚たちが出す音を聞いており、中層にイルカがいる場合 は、だいたい20m先のエサを音によって探し、水底では長い口の横にある電気受容器と思われるものを用いて、餌生物の出す微弱な電気信号を探索していると考えています。 ガンジスカワイルカは独特な採餌方法を持っています。例えば体を横にして泳ぐ(サイドスイム)、くるっと回りながら採餌するなどです。様々な感覚器官を用い、さらに様々な独自の採餌方法を生み出すことで、視覚の使えない環境に適応してきたのではないかと考えられます。 

 

論文:Kelkar N, Dey S, Deshpande K, Choudhary SK, Dey S, Morisaka T (2018) Foraging and feeding ecology of Platanista: an integrative review. Mammal Review 48:194-208.